皆さんが学生の頃、「グループ」というものを意識したことはありませんか?仲良しグループもあれば、「あのグループの人たちは苦手かも……。」というものもあったと思います。そんなグループ、心理学の世界ではいくつかに分類されており、それぞれに名前がついています。発達心理学などの論文などに登場することもあるので、一緒に確認してみましょう!
前提として……
発達心理学では、人間の一生をいくつかに分ける理論が存在します。その中でも有名な、エリクソンの理論に立っているのが今回解説する用語たちです。
エリクソンは、人間の生涯を8つに分け、それぞれの発達段階における矛盾を解決していくことで、成長していくと考えました。今回のグループは、児童期から思春期、大雑把にいうと6~18歳くらいまででみられると考えられています。
特に、児童期(6~12歳)では、少しずつ親から自立し、友達づきあいが増えていく時期です。そのため、友達グループのもつ意味合いが大きくなっていきます。
今回は、日本にこのグループ用語を紹介した保坂先生(1936)の記事を基に、解説していきます。
ギャング・グループ (gang-group)
児童期後半(小学校高学年頃)、親からの自立のための仲間関係を必要としはじめる時期に現れる徒党集団。(中略)
ここでは特に同一行動による一体感が重んじられ、同じ遊びをいっしょにするものが仲間であると考えられる。従って、遊びを共有できないものは仲間からはずされてしまう。この段階に至ってようやく仲間集団の承認が家庭(親)の承認より重要になってきて、大人(親や教師)がやってはいけないというものを仲間といっしょにやる(=ルール破り)ことになる。
このように、ギャング・グループはその名の通りやんちゃで、仲間と一緒なら悪い行為もしてしまうグループを指します。近年バイトテロや寿司ペロなどが悪い意味で話題になっていますが、仲間と一緒だとダメだと分かっていてもその場のノリで悪いことをしてしまったりもするのです。
ギャング・グループは同性のグループ、特に男性に多いと考えられています。また、同一行動で繋がっており、相手を丸ごと受け入れる状態になっています。
チャム・グループ (chum-group)
思春期(中学生頃)によくみられるなかよしグループ。(中略)この段階では、同じ興味・関心やクラブ活動などを通じてその関係が結ばれる。ここでは互いの共通点・類似性(例えば同じタレントが好き)を言葉で確かめ合うのが基本になっている。彼ら・彼女らの会話を聞くと、その内容よりも「私たちは同じね」という確認に意味があることがわかる。そして、よくその集団内だけでしか通じない言葉(=符丁)を作り出し、その言葉が通じるものだけが仲間であるという境界がひかれる。(略)chum-groupの特徴は同一言語にあるといえるだろう。
これが一番想像しやすいグループではないでしょうか?ポメもいわゆるオタク仲間とグループになって、それぞれの推しの話をよくしていましたね~。いつも一緒に行くコンビニが池の近くにあったので、そこを「池コン」と呼んで、「今日池コン集合ね!」みたいな話をしていました。この「池コン」が共通言語にあたります。他のグループの人に池コンと言っても通じないですからね。
さて、そんなチャム・グループも同性で形成されることが多く、一般的には女性に多いとされています。また、言葉による一体感の確認により、仲間に対する絶対的な忠誠心が生まれる、とされています。
ピア・グループ (peer-group)
青年期において、(略)互いの価値観や理想・将来の生き方などを語り合う関係が生じてくる段階。ここでは共通点・類似性だけではなく、互いの異質性をぶつけ合うことによって、他者との違いを明らかにしつつ自分の中のものを築き上げ、確認していくプロセスがみられる。そして、異質性を認め合い、違いを乗り越えたところで、自立した個人として互いを尊重し合って共にいることができる状態が生まれてくる。
こちらは、違うところがありつつも、お互いを尊重しあっているグループです。そのため、異性や年齢の違う人々で形成されることもあります。
ポメとしては、大学生の頃の教職課程の仲間たちが浮かびました。どんな教え方がいいか?という考え方は違いましたし、趣味もいろいろでしたが、まじめな話もバカみたいな話(これが9割)もしながら、お互いのいいところを見つけられた気がします。
グループの問題点
ギャング・グループやチャム・グループでは、仲間が同じであるように、という圧力(peer pressure)がかかります。皆さんも経験があるかもしれませんが、この圧力はとても強力です。そして、反社会的な行動に及んでしまうのです。
その背景として、親からの自立への不安を、仲間との親密さによって打ち消そうとしていることがあげられています。
また、ギャング・グループやチャム・グループでは、仲間が同一であることを絶対としているため、仲間はずしが起こることがあります。それが長期間にわたり、固定化されると、いじめに繋がることになります。
このようなグループの問題は社会の変化とともに、研究され続けています。
この記事を書いた人
参考・引用文献
中野明徳(2020)『E.H.エリクソンの人生とアイデンティティ理論』「別府大学大学院紀要」22. pp.31-50. http://repo.beppu-u.ac.jp/modules/xoonips/detail.php?id=gk02205
保坂亨(1996)『子どもの仲間意識が育む親密さ――仲間関係における親密さといじめ』「現代のエスプリ」353. pp.43-51. ぎょうせい.



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