先史時代の時代区分にはどんなものがあるの?

教育史を深堀りまくるシリーズ

 完全なる個人の興味で、教育史を深堀ってみよう!というシリーズを始めることにしました。私は、考古学よりも文献調査を用いた教育史研究が専門ですので、その点ご了承ください。
 まずは日本にターゲットを絞ることにして、さらに人間が教える、ということを究極的に追及するとしたら、古代の話になるのでは?と思い、縄文時代よりも前について、色々と調べてみると、細かい時代区分があることに気が付きました。
 今回は、縄文時代よりも前、日本、ということに的を絞って、時代区分についてみていきましょう!

ひつじさん
ひつじさん

いきなりマニアック……趣味全開ですね

三時期法 (Three ages system)

 三時期法は、簡単に言うと道具によって歴史を区分する方法のことです。大きく石器時代、青銅器時代、鉄器時代(大体、キリスト誕生まで)に分かれます。
 考古学の世界で用いられていた時代区分の1つであり、恐らく考古学の中では最初に発案された時代区分です。1836年(なんと今から約200年前!)に、 デンマークの学者、Christian Jürgensen Thomsenによって定義されました。そのため、日本特有のものではなく、世界の古代を語る上で使われている時代区分です。
 角田(1972)は、John Evansの著書をもとに、以下のようにポイントをまとめています。(古い本ですので、現代的な仮名遣い、言い回しに直しつつ引用します。太字は筆者によるもの。)

石器時代

ヨーロッパのある地域、例えばデンマークで、人間は各種の利器(Cutting instruments)に金属を用いることを知らず、彼らの器具や武器は、石、骨、木その他容易に求められる自然の産物をよりどころにしなければならなかった。

青銅器時代

青銅器時代には、銅あるいはそれと錫の合金である青銅の使用が知られ、種々たる目的に石を使うことは、次第に廃れるにいたった。もちろん、石の使用がなくなったのではない。

鉄器時代

利器としての目的から見て最上の金属である鉄または銅が、青銅に代わった。そして鉄は、利器の材料として今日に至るまで使用されている。

 この三時期法にのっとって様々な時代区分が生まれ、広く知られた時代区分ではありますが、三時期法は、明確に〇年~〇年!と言い切れるものではなく、地域差もあります。その不確かさが批判の的になることもあります。そこで、例えば何の材料を参考にするかを限定したりしましたが、やはり「曖昧である」という弱点は残ったままでした。
 例えば、弥生時代の青銅器が出土していますが、銅を加工していた形跡がないことから、輸入品であると考えられています。それでも、三時期法では青銅器時代と呼ばれてしまう、というわけです。

ひつじさん
ひつじさん

そうだけど、そうじゃないんだ~!ってむずむずしますね

 しかしながら、「歴史は三分割する」というものはもはや慣習と化すほど、この三時期法の影響は大きいものでした。例えば、「古代-中世-近代」。それを細分化する際も、基本的には三分割していくそうです。

 と、長々と書いてしまいましたが、まずは最も古く影響が強い、三時期法の紹介でした。「石器時代-青銅器時代-鉄器時代」という、かなりメジャーな分け方でしたね!

文化史上の分け方

 こちらも、三時期法の一種といえるかもしれませんが、文化を研究する分野においても、時代を3つに分けます。

有史以前 (prehistoric)

一般的に、文字記録が残っている時代よりも前の時代を指す。

原史時代 (protohistoric)

「神代記にある伝説神話の時代、記録の具備せない時代で、日本でいうと古墳を作り勾玉・管玉を装飾として用いた時代がまずこのプロトヒストリックに入れて差支えなかろうと思います」(鳥居, 1925 ※新字体、現代仮名遣いに改めています)

一般的に、文字記録のないprehistoric と、 historic の過渡期を指します。

歴史時代 (historic)

一般的に、文字記録が十分にあり、歴史が明らかになった時代を指します。

 教育は、文化史との関わりが多い分野です。そこで、今回は具体例をあげながら紹介しました。前章の三時期法は考古学的な分け方であるため、鉄器や青銅器など、出土する「モノ」が基準となる分け方でしたが、文化の歴史においては、「文字」を軸に歴史を分けていることが分かりました。


 どうやら、何を研究するのかによって、歴史の分け方は違うようです。当初の目的、「教育史」を語るうえでは、「言語」も欠かせぬ要素!次の章では、「日本語史」の時代区分を見てみます。

「日本語史」の時代区分

 まず、『日本語史概説』(三木,1955)というそのものずばりな書籍を確認しましたが、ここで紹介されている時代区分は主に奈良時代以降にスポットを当てるものとなっており、それ以前の日本語については、文字資料の少なさから、調査が難しいことが書かれています。

 言語史研究の場合、音声は録音機器がなければ過去のものは研究できませんし、文字も文献資料が残っていなければ研究できません。
 尾山(2024)は、以下のように日本語の文字表記の歴史をまとめています。

地球上には、エジプトのヒエログリフか、もしくは漢字の、その子孫筋の文字しか基本的に残っていない。(略)他でもない日本語が、漢字という外国語のための文字を導入するところから書くという営みがスタートしていることからも、それはよく知られることであろう。

 中国語の輸入から日本語の文字がスタートした、ということは、中国との交流が始まるまでは、日本では「書く」という行為がなく、当然録音機器もないので、古代の日本語は研究できない、ということになります。

まとめ

 以上、「学ぶ・教える」って古代からあるんじゃね?と思って色々調べた結果、様々な時代区分があること、そして昔のことを調べる、ということの限界が分かりました。
 まず、どのような言葉を使って教えていたのか、は分かりません。
 そして、何を教えていたか、については、石器や青銅器の作り方だろう、ということは推測できますが、証拠はなく、また現代まで残っていないもの(料理の仕方や礼儀作法など)は、追跡不可能です。ぐぬぬ……。
 と、古い時代になればなるほど分からなくなることばかりですが、これからも教育史を追いかけてみたいと思います。
では、また次回のゼミでお会いしましょう!!お疲れ様でした~!

この記事を書いた人

ぽめ先輩

日本のどこかの大学院で勉強中のポメラニアン。
TOEIC 最高得点 730点、中学校教諭一種免許状(英語)、高等学校一種免許状(英語)を取得しています。
専門は英語教育史、英語学、第二言語習得、心理学、教育学です。
好きなものはおさんぽとアイドルマスターです。

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参考・引用文献

尾山慎. (2024). 『日本語文字表記史の課題と研究方法 ―古代の萬葉仮名表記を例に―』「歴史言語学」13, 117-133. https://www.jstage.jst.go.jp/article/hlj/13/0/13_10/_article/-char/ja/
草間俊一. (1961). 『日本元始文化の研究(1)』
鳥居竜蔵. (1925). 『有史以前の日本』,磯部甲陽堂. https://dl.ndl.go.jp/pid/1847093
角田文衛. (1972).『古代学序説 増補』山川出版社. https://dl.ndl.go.jp/pid/12146698
三木幸信(1955)『日本語史概説』2版, https://dl.ndl.go.jp/pid/2474722/1/52 .

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