教員免許状をとるうえで、欠かせないのが、介護等体験です。しかし、教員と介護、というワードがなかなか結び付かなかったり、親族に介護施設のお世話になっている人がいなければ、何をするのか全然イメージがわかず、不安になることもあると思います。
そこで、今回は私の経験や、担当教員、職員の皆様から教えて頂いたことなどを元に、介護等体験ってこんなことをするんだ!ということが分かるような記事にしたいと思います!
そもそも、「介護等体験」とは?
介護等体験は、小学校または中学校の教員免許を取得する場合、必ず行わなければならない実習のことです。
文部科学省は、以下のように定義しています。
「小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律」(平成9年法律第90号)に基づき、特別支援学校や社会福祉施設(老人福祉施設、障害者支援施設等)において、7日間以上、障害者、高齢者等に対する介護、介助、これらの者との交流等の体験を行うことを、小学校・中学校教諭の普通免許状の授与の要件とするものです。
基本的に7日間、老人ホームや、障がい者支援施設で実習を行い、そのレポートを提出、施設の方と教職課程担当教員による評価を受けて、単位が認められればOK!という感じの流れです。文部科学省は、「特別支援学校2日間、社会福祉施設5日間とすることが望ましい」としていますが、実際には社会福祉施設7日間というパターンもあるようです。
基本的に単位が認められない、ということはよほどのことがないかぎりありません。(担当教員の話では、実習中に明らかにやる気がなく、あいさつをしなかったり、無断欠勤して出禁になった方はいたそうですが……。)こちらが介護のプロでないことは先方も分かっているので、自分ができる範囲のことをしっかりできていれば大丈夫です!
実際に、なにするの? (ぽめ先輩の体験談)
では、実際にどんな実習だったのか、私の体験談を綴っていきます。参考になれば幸いです。
行った場所: 特別養護老人ホーム
実習期間: 5日間 (コロナの影響で、特別支援学校での実習が行えないため、2日間免除されました)
行った人数: 同時に2人、ただしもう一人とは違う階で実習
私は、特別養護老人ホームで7日間の実習を行いました。特別養護老人ホームという施設は、生活のほとんどで介助が必要な高齢者の方々が利用する施設で、利用者の方は施設で暮らしています。車いすが必要な方や、中には胃ろうが必要な方もいました。
「介護等体験」全体の流れ
1学期の授業を通して、「介護等体験」は行われます。大学の教職課程の授業の1つ、という位置づけです。この項では、「介護等体験」の授業の流れを簡単にご紹介します。
4~5月 座学 「介護等体験」の意義などを学ぶ
6月 どの施設に行くかが決まる、先方に挨拶に行き、簡単な説明を受ける、先輩の体験談を聞く
7月 必要な書類の作成、最終確認、持ち物や注意事項、レポートについての確認
8月 7日間の実習、レポートの作成・提出
ざっくりとですが、私の場合はこのような流れで「介護等体験」の授業は行われました。授業自体はそこまで大変ではありませんが、必要な書類の用意が大変だったのを覚えています。
健康診断の結果、PCR検査の結果(クラスター発生予防のため)、申請書などなど……。初めて外部の機関に色々と書類を提出する体験だったため、とても緊張しました。
できること、できないこと
私たちは、教職課程を受けているだけで、介護についての授業は受けていません。ですので、介護施設での実習と言っても、介護福祉士や看護師を目指されている方々とは違い、できることが非常に限られてきます。
例えば、排泄や入浴、歯磨き、服薬指導といった、利用者の健康や命に直接関わる介助はできません。(むしろ、勝手にやるのは絶対NG!)また、特別養護老人ホームの場合、24時間職員の方は交代で勤務されていますが、私たち学生は9時~17時の間のみ実習を行います。
では何をするのか、というと、食事介助や体操、車いすの移動や利用者の方々との会話が主な実習内容です。もちろん食事や体操は時間が決まっているので、利用者の方とのコミュニケーションや、職員の方の介助の見学が主な実習内容になります。
「介護等体験ってことは、ガッツリ介護しないといけないの?」と思っていた方もいるかもしれませんが、基本的に利用者さんが危険になるような介助は、学生は行えません。
何が大変だった?
介護等体験で一番大変だったと印象に残っているのは、体調管理です。
高齢者の方々は免疫が落ちていることが多く、認知症の影響でマスクを着用してもらうことも難しいため、私たちは菌やウイルスを持ち込むわけにいきません。そのため、毎日検温をしたり、PCR検査をしたり、手洗い・消毒を徹底したりと、緊張感のある5日間だったことを覚えています。
加えて、利用者さんは異食といって、食べ物でないものを食べようとしてしまうことがあるので、それを止める必要があったり、筋肉が落ちている利用者さんが車いすから落ちないように付き添ったりしたこともありました。
このように、利用者の方の健康や安全を守る、ということにとても神経を使いました。もし病気にかかったらそのまま亡くなってしまう、という方々と接するのは、これまで味わったことのない緊張感がありました。
また、介助ができない歯がゆさもつらかったです。
私がお世話になった施設ではそんなことはありませんでしたが、介護等体験で来る学生は介護の資格がなく、実際の介助はほとんどできないため、介護士さんに邪険に扱われることもあるそうです。私は介護士の方々にとても温かく接して頂きましたが、お仕事の時間を削って色々なことを教えてくださったり、レポートを読んで下さる一方で、私たちは介護の負担をほとんど減らすことができなかったため、毎日申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
皆さんが介護等体験に行くときも、できないことの方が多いと思います。その中で、自分にできることを全力でやって、少しでも恩返ししたいですね。
よかったことは?
介護等体験でよかったことは、一人一人の要望に向き合うという経験ができたことです。
介助の資格がないため、学生は利用者さんとお話ししていることが多く、そこでたくさん利用者の方の「〇〇したい」「〇〇してほしい」という声を聞きます。
応えられるものもあるのですが、「家に帰りたい」「好きなものを食べたい」など、施設の事情を知っているとどうにもならないことが多いです。施設側の事情、利用者さんの気持ち、どちらにも応えなければいけません。それは、学校現場にも近いなと私は感じました。
生徒の気持ちも、学校側の意図も、どちらも教師は受け止めることになります。一人の要望だけをかなえることもできません。介護等体験の中で、私は初めてその立場に立てたなと思いました。
介護等体験の意義
私が習った意義
ものすごくざっくばらんな言い方になってしまいますが、「教育実習の時にやらかさないため」「意義は自分で見つけることになる」と言われました。
繰り返し書いているように、私たちは介護のことについて学んでいるわけではなく、特に高齢者施設での介護等体験の場合、将来の仕事に直接役立つわけでもありません。
そこで言われたのが、「教育実習の前に、初めて外部の方にお世話になる経験をしておく」ことが重要であるという事でした。事前に施設にご挨拶に言ったり、必要書類を準備したり、お礼状を書いたりと言った、お世話になるうえで重要なことは、教育実習前後と同じです。教育実習という大学での教職課程で最重要の学習に備える、ということが介護等体験の意義の一つであると習いました。
それに加えて、「なぜ介護等体験をするのか?」という答えは、人によって違うと言われました。自分で体験して、それぞれにとっての答えがある、と。ちょっと精神論ぽいですが……。実際、人によって全く違う体験をすることになるので、仕方ないのかもしれませんね。
私が感じた意義
私がその中で感じた意義は、「自分の至らなさを知る」ということです。自分自身の経験、同期との反省会で聞いた話を通じて、そう感じました。
しつこくて申し訳ないのですが、介護等体験での私たちはできることがほとんどありません。それは教育実習でも同じで、迷惑かけて申し訳ないなあ……とずっと感じていました。その中で、「自分はこれが苦手なんだ」と気が付けました。自分の弱さに自然と目がいったのです。
なかなか苦しい体験ですが、よい教師になるために、必ず必要な体験だと思います。
まとめ
介護等体験を振り返ってみて、精神論的なことが多くなってしまったことに自分でも少し驚いていますが……。それだけ、自分の人生の中で大きな体験でした。(もちろん、施設によってどんな体験になるか違ったり、守秘義務の関係で詳しく具体的な話ができない、というのもあります)
これから介護等体験に向かう皆さんの不安を、少しでも軽くできる記事になっていたら幸いです。何か聞いてみたいことなどありましたら、お気軽にコメントください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事を書いた人
参考・引用文献
文部科学省. 「介護等体験について」 (2026年9月7日最終閲覧) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/mext_02889.html


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